☆ポイント
・機会集合とは何か?
・予算制約と時間制約とは何か?
・生産可能性とは何か?

◎機会集合
 経済学的な問題とは、何を得て何を諦めるかの選択そのものであると述べたが、このときの選択肢も無限に存在するわけではない。
 実行可能である選択肢の集まりを機会集合と言い、機会集合の要素がそれぞれどれほど望ましいかなどを調べることが、選択を分析するにあたって重要なことである。
 そして、機会集合の枠を決める、つまりは選択を制限するものが、次に述べる制約である。

◎予算制約
 選択を制限するもののうち、お金に関する制約を予算制約と呼ぶ。
 例えば、使えるお金が1000円あり、200円のチョコレートと100円のアイスのみを購入できるとした場合、可能な組み合わせは、チョコレート0~5個とアイス0~10個の間に限られる。
 具体的には、200X+100Y≦1000の範囲の整数点が機会集合である。
 最も多くの財を購入可能なのが、実際の選択が200X+100Y=1000の直線の上に乗っている場合であり、この直線よりも内側では使う金額にあまりが生じ、外側の点は選択することができない。
graph1

◎時間制約
 人間が1日に使いうる時間というものは、貧富の差に関わらず24時間しかない。
 例えば、1日のうちに何かしたいことが2つある場合、その人は常にX+Y≦24という範囲でトレードオフを迫られることになる。
 さて、予算制約も時間制約も機会集合を規定するという点で同じだが、個人の置かれている状況によってその比重は大きく変化する。
 単純に貧乏人であれば時間制約よりも予算制約のほうがより強い制約であると考えるだろうし、お金持ちであれば予算制約よりも時間制約のほうがより強い制約であると考えるだろう。

◎生産可能性
 上で挙げた2つの例は個人に関するものであったが、もっと大きな、例えば企業や社会全体の選択を規定するような制約は何であろうか?
 投入しうる土地の広さや労働力を固定したときに、企業や社会が生産しうる財の総量を、生産可能性と呼ぶ。
 例えば、企業がXとYという財の2つのみを生産しようとしているとき、その可能な組み合わせが下表のようであるとする。
graph2
 そして、この各点をプロットしたのが次のグラフである。

graph3
 このグラフの境界線が、生産可能な財の量の最大値であり、生産可能性曲線と呼ばれる。
 ここで、上に挙げた例と違うことは、境界が直線ではなく曲線であることである。
 個人の場合の制約を考える場合、例えば1000円の中から200円だけ使うような、固定的なトレードオフのみを考えればよかったが、一方でこの場合のトレードオフは、社会の生産能力などの固定的でない問題を含んでいる。
 具体的には、Xを生産するための資源は、グラフの例であれば400ぐらいまでは最適なものを用いることができるが、700から900、900から1000と値を大きくするにつれて、生産に最適でない資源、つまりはYを生産するための資源をXの生産に回さなければならなくなるため、伸びは鈍化していくのである。
 これは土地の場合を考えるとわかりやすいだろう。
 ある区画で米と小麦のみを生産するとき、Xを米、Yを小麦とすると、米の生産量を増やそうとしても、あるところまでは米の生産に最適な土地が使えることになるが、そこを超えてしまうと最適でない土地や、小麦を生産していた土地を水田に転用しなければならなくなるのである。
 このように、財を生産するための投入物を増やしたとき、その増加分が一定ではなく鈍化していくことを、収穫逓減の法則と呼ぶ。

☆まとめ
・個人や企業あるいは社会全体が選択に直面したとき、実行可能であるような選択肢の集まりを機会集合と呼ぶ。
・機会集合の枠を決める制限のうち、お金に関する制限を予算制約といい、時間に関する制限を時間制約と呼ぶ。
・企業や社会全体が生産しうる財の総量を生産可能性といい、この機会集合の境界線を生産可能性曲線と呼ぶ。
 このとき、生産するための投入物を増やしても、その生産量の増加が鈍化していくことを収穫逓減の法則と呼ぶ。