☆ポイント
・費用と便益のトレードオフとは何か?
・機会費用、サンクコスト、限界費用とは何か?

◎費用と便益
 選択を行うにあたっては、常に費用と便益との比較、つまりは獲得する便益と、そのために諦めなければならない費用とのトレードオフに直面する。
 ここで、予算制約線、時間制約線、生産可能性曲線上での経済活動においては、ある財を多く得ようとすると、他方の財を諦めなければならないという関係があったことを思い出そう。
 ある財を得るために支払うコストもそうであるが、ある財を得るために諦めた他方の財も費用であると言え、トレードオフの関係で費用を考えたとき、注目すべきは諦めるほうである。
 例えば、1000円の予算全てを使い切って200円のチョコレートと100円のアイスを買うとき、チョコレートを1個買うということは、アイスを2個諦めなければならないということに着目するのである。
 このとき、相対価格という概念を導入すると、チョコレートの値段はアイスの2倍であるから、チョコレートの相対価格は2である。
 この相対価格とは、一方の財を手に入れるとき、他の財をどれだけ諦める必要があるかを示す値になる。

◎機会費用
 大学進学についてかかる費用を考えてみよう。
 多くの人は、授業料や教材費こそが大学進学にかかる費用だと考えるだろうが、実際にはそれは完全な答えではない。
 ここで、大学進学にかかる費用とは、大学に行かない場合に使えるはずの時間と、その時間を使って得られるはずの所得を含めて、はじめて完全なものになる。
 この例のように、ある財を得るために諦めたお金と時間を合わせたものを、機会費用と呼ぶ。
 そして、機会費用の大きさとは、ある財を得るという選択をしないとき、それに代わる別の望ましい選択を行ったときのお金と時間の使い道そのものである。

◎サンクコスト
 ある選択を行ったとき、もうすでに支払いがされてしまい、回収不可能であるならば、その費用をサンクコストと呼ぶ。
 サンクコストは、合理的な企業や個人であれば無視をする支出である。
 1960年代、イギリスとフランスの航空会社が共同でコンコルドという超音速旅客機を開発していた。
 コンコルドには当初、その先進性から世界各国から注文が殺到したが、開発が進み問題点が浮き彫りになるにつれて、逆にキャンセルが相次ぐ事態となった。
 しかし、キャンセルが相次ぎ、大きな損失を出すことが確定的になったときにも、航空会社は開発をやめなかった。
 航空会社は開発にすでに投じてしまったコストを重視し、開発を中止してはその費用が無駄になってしまうと考えたのである。
 サンクコストを考えると、開発に投じてしまった回収不可能な費用を無視して、開発を中止して得られるお金と時間を使って他に何が得られるかを考えたほうが合理的なのであるが、実際にはそうはならなかったのである。
 このような錯誤を、コンコルドの名前をそのまま取ってコンコルド効果と呼ぶ。

◎限界費用
 限界費用とは、何かを行ったときに、それに加えて何かを行うための追加的な費用、つまりはオプションのことである。
 例えば、パソコンを買うための予算を考えるときには、パソコン本体のみの値段だけではなく、他のパーツ、例えば記憶媒体やソフトウェアも含めた費用と便益とを考えなければならないということである。
 ここで注意するべきは、パソコンの記憶容量を増やすために追加的な費用を支払うとすると、16GBから1GB増やす場合と、256GBから1GB増やす場合とでは、得られる便益は同じではないということである。 
 追加的に何かを1単位分行うとき、上の例だと記憶容量を1GB分増やすとき、そこから得られる便益を限界便益と呼ぶ。
 パソコンの例で言えば、記憶容量を増やすための費用と、記憶容量を増やすことで得られる便益とを、はかりにかけるということである。

☆まとめ
・人が何か選択を行うときには、常に費用と便益とのトレードオフに直面する。
・機会費用とは、選択にあたって諦めるお金と時間を合わせたものである。
・サンクコストは、回収不可能な費用であるから、合理的な選択を行うにあたっては無視される。
・限界費用と限界便益との限界的なトレードオフ関係も、経済学においては重視される。