☆ポイント
・統計における5W1Hとは何か?

◎統計における5W1H
 統計において重要なのは数学的な定義や数値計算だけではない。
 特に、経済学に関連するような統計情報を読み取るには、いわゆる5W1Hを読み取ることも重要である。
 つまりは、「誰が」、「いつ」、「どこで」、「何を」、「なぜ」、「どのように」という情報を読み取って、はじめてその統計情報を理解したといえるのである。
 例えば、日本の人口が知りたいとすると、たいていの人は総務省の国勢調査をあたるだろう。
 2015年度の国勢調査の概要が次のリンクにある。



 では、ここから統計の5W1Hを読み取ってみよう。
 まず、「誰が」という部分については、当然日本の総務省、もっと言えば、国勢調査員や調査を委託された事業者である。
 次に、「いつ」は2015年度の9月10日~20日、「どこで」は国勢調査施行規則に定められた日本国内の領土、「何を」は今回は日本の総人口、「なぜ」は行政の基礎資料として日本国民の実態を把握するためである。
 最後に調べるのは「どのように」であるが、それを知るためには、まず「誰を」調査したのか知る必要がある。
 調査の対象の項には次のように書いてある

"平成27年国勢調査は、調査時において、本邦内に常住している者について行われた。ここで「常住している者」とは、当該住居に3か月以上にわたって住んでいるか、又は住むことになっている者をいい、3か月以上にわたって住んでいる住居又は住むことになっている住居のない者は、調査時現在居た場所に「常住している者」とみなした。"

 要は、日本国内に住んでいる人のことであり、この国勢調査は全数調査であるので、調査するのは文字通り日本に常駐している全員である。

  このことは、統計法第五条第一項にも、「総務大臣は全数調査を行い、これに基づく統計を作成しなければならない」と定められている。
 国勢調査の「どのように」の話に戻ると、調査の方法の項には次のように書かれている。

 "平成27年国勢調査は、総務省統計局 - 都道府県 - 市町村 - 国勢調査指導員 - 国勢調査員の流れにより行った。
 調査は、調査員又は調査員事務を受託した事業者(以下「調査員等」という。)が、下記の方法により行った。

  1. 調査員等は、担当する地域の全ての世帯にインターネット回答の利用案内を配布する。世帯は、9月10日~20日の期間にインターネット回答を行う。
  2. その後、調査員等はインターネット回答のなかった世帯に調査票等を配布する。世帯は、記入した調査票をそのまま調査員等に提出するか、又は郵送により提出することにより回答を行う。

 ただし、世帯員の不在等の事由により、前述の方法による調査ができなかった世帯については、調査員等が、当該世帯について「氏名」、「男女の別」及び「世帯員の数」の3項目に限って、その近隣の者に質問することにより調査した。"

 要は、全ての世帯に対してインターネットでアンケートを取る→回答が無ければ調査票等を提出させる→それでも回答が無ければ特定の項目に限り近隣住民に質問をして調査する、という流れで全数調査を実現しているのであるが、国勢調査に国家は約650億円を投じたという事実があり、全数調査には多大なコストがかかることがわかる。
 母集団の全てを調査の対象とする全数調査に対して、世論調査などにもちいられる標本調査と呼ばれる調査方法もある。
 この標本調査は、母集団から無作為に抽出したサンプルについて調査を行い、母数を推定するという方法である。
 標本を無作為に抽出する方法には、一般に層化抽出法やRDD方式(ランダム・ディジット・ダイアリング)が用いられるが、今回はこれについて詳しく述べることはしない。

☆まとめ
・統計を読むときには、そのデータの出典元で5W1Hも参照する。
・調査には全数調査と標本調査があり、全数調査には誤差は無いがコストがかかるという問題が、標本調査には標本数に依存する誤差が生じるという問題がある。